お寺

この文章を書いていた時、私は近くのお寺の中の公園の池の前の藤棚の下にいました。
私は強烈な花の匂いはとても苦手なのですが、ほのかに匂ってくるこの藤の匂いは、私を心地よくさせてくれます。
目の前には池から陸にあがった鴨が四匹いて、私は動物が好きなので近づいてみると、意外に逃げませんでした。
人に慣れているんでしょうか。
しかしもっと近づいてみると、「ガァガァ」と鳴いてきて、やはりこちらを警戒しているみたいでした。
池では時折「バシャン」と鯉が勢いよく跳ねる音がして、その音が風情があって心地がいい。
人はまばらで、たまに外国人観光客が写真を撮りにきたりしていて、こんな田舎でも国際的なのね、なんて思ったり。
ボーっとするには良い場所です。


しかし私はとても居心地がいいのに、少し気になることがありました。
私の周りに、スポーツバッグが無造作にいくつも置いてあって、その上に学ランが置いてあるからです。
私は学生が苦手です。
学生の集団はこの上なく苦手です。
道で横に広がって、大きな声でぺちゃくちゃ喋ったり笑ったり。
あれはただの通りすがりの私を威嚇しているんでしょうか。
そして私はその学生の集団の笑い声が怖くて仕方がありません。
こうやって書いている時も、遠くから話し声や笑い声が聞こえてきて、びくびくしながら書いていました。
お寺なんですから、もう少し静かにしてくれたっていいじゃないですか、学生さん。


そんな私も一応学生なんですけど、学校に行かなくなってからは、すっかり学生恐怖症です。