はてな年間100冊読書クラブ53冊目は中流階級の見る夢

不良少女入門―ぼくの愛した少女

不良少女入門―ぼくの愛した少女

内容は映画や娼婦や少女で、不良少女は出てこないです。
寺山修司のマザコンっぷりがよく分かりました。
この人は小さい頃から母親に「女」を感じていたみたいだけれど、
ぶっちゃけちょっとキモス。
あと寺山は「娼婦萌え」っぽい。
私も娼婦というのは好きです。あくまでお話の中での話しですが。

この本の中で

映画スターに憧れるのは中流家庭に多い。
貧しさのどん底で喘いでる人達は、パンを追うことで精一杯だし、
上流の、欲しいものが何でも手に入る人たちにとっては、スターの生活など夢ではないからである。
(略)
「どこかへ行ったら」という感情こそは、中くらいの家庭に生まれた全ての青年達にとって、いわば共通の思想の様なものではないだろうか?

の様な事を寺山は書いていて、私はとても的を得てると思ったのだけれど、どうだろう。
「映画スター」の部分は、才能で食ってく職業一般に置き換えられますね。
けどこの「どこかへ行ったら」で実際どこかへ行っても、その「どこか」で何かをしないと、結局新しい事は何も始まらないんだよね。
実際私は学校からどこかへ行って、気持ちはだいぶ楽にはなったけれど、ただそれだけ。
まあどこかへも行かずに見ずもせずに、えらそうな事言ってるよりはマシだと思うけれど。
せめてもの慰みにそう考えるようにしました。


解説には美輪明宏氏が書いているのだけれど、私はあの人が何か苦手だ。
自信過剰過ぎると言うか、自分が絶対だとでも言わんばかりなあの感じが駄目です。
しかしこの解説はいい事書いてます。

「どんなに高名な作家でも、本書きというのは女郎と同じよ。本屋の店先に並んで客待ちをして、選ばれて部屋に行って、股を広げるようにページを広げてもらった時に始めて立ち上がってくる。」

天才には資質だけではなく「生い立ち」が必要なのだとつくづく感じます。映画館の暗闇が彼の天才を育てた。そんな気がします。

と書いてて、やっぱだてに波乱万丈な人生生きてないな美輪さんは、と感心。