休憩中にバックルームにいたら、
仕事終りのおばさんの先輩達が入ってきて、
「お疲れ様です」
と言ったら
「ちゃんと言えるじゃないの」
と言われて、お説教とお褒めの言葉を頂いて、
「ここには本当に悪い人はいないし、皆で仲良くやりたいから」
と言われたけれど
「じゃあ人に聞こえる様にああいう事を言うのはありなのか…」
とさっきの事を思い出したものの、
「はぁ」と返事をする。

帰り、駅に着いたら大雨が降っていて、
駅で雨が止むのを待っている人達の間を通り抜けて、
ずぶ濡れになりながらも
京成駅前の百均に向かって傘を買いに走った。
JR駅前の駐輪場に着いた頃にはだいぶ雨は収まっていて、
私は傘をさしながら自転車に乗って家に向かって走っていた。



家に帰ったら私が散らかした家のリビングが待っていて、
家にも帰りたくないけれど、
色々寄り道しても私には行き着く場所があそこしか無い訳だし、
もうこれはしょうがない事で、
家に着いたらすぐ自分の部屋に篭ろうと思っていた。
そうし雨の中走っていると、
突然自転車がガタンと大きく揺れて、
気を抜いていた私は前のめりになって
転びそうになって、前に郵便局の前で転倒した事が頭によぎった。
幸いこけずに何とか体勢を持ち直して走り出そうとしたら、
自転車から変な音がするし、足が引っ張られていると思ったら
ほどけた靴紐が自転車のペダルに絡まっていて、
ブレーキをかけたらまた転びそうになった。
多分いつもの私なら、ここでどうしようもない苛々がとめどなく溢れてきて、
道のど真ん中でも
何か叫びながらかんしゃくを起こして
ボロボロ泣いていたのだろうけど、
その時は泣かなかった。
ただ家に向かって真っ直ぐ走っていった。
心の中のもやもやがふいに消えていった。